Head-bar組立施工管理
組立施工管理基準
プレート定着型機械式定着鉄筋「Head-bar」建設技術審査証明報告書に基づき、Head-bar組立時の施工管理基準を以下に示す。
1.せん断補強鉄筋または中間帯鉄筋に用いる場合
1-1.配置
- Head-barの諸性能を十分発揮する為には、組立誤差ができるだけ小さくなるように注意し、原則的には、Head-barのプレートとバリあるいは母材とバリが掛けられる鉄筋に密着するように掛けること。
- Head-barは、半円形フックに準じて主鉄筋と配力筋(または帯鉄筋)の交点にできるだけ近い位置に配置する。また、プレートの長辺方向は掛けられる鉄筋とできるだけ直交させる。
- 壁式橋脚のように主鉄筋の外側に帯鉄筋が配置されている場合、原則としてHead-barのプレートが帯鉄筋に掛かるようにしなければならない。
- 主鉄筋と、配力筋または帯鉄筋の全ての交点にHead-barが配置される場合を除き、Head-barを千鳥に配置することを推奨する。
- かぶりは適切に確保しなければならない。かぶりの最小値は適用する設計基準(道路橋示方書・コンクリート標準示方書等)に準拠する。
1-2.組立て
Head-barのプレートが掛けるべき鉄筋に確実に掛かり、またコンクリート打設時の振動等によって動いたり回転したりする事を防ぐ為に、Head-barと掛けられる鉄筋を結束線等で固定しなければならない。特に、鉄道系配筋では主鉄筋掛けが原則であり、主筋が縦方向の部材ではプレートが横向きに配置されるため、プレートが回転したり、下にズレないように注意し、確実に固定する必要がある。
また、状況によりプレート近くでの結束が困難な場合は他の部分でしっかり結束し、コンクリート打設等によりHead-barがズレないようにしなければならない。
1-3.施工管理規定値
以下に施工管理規定値を示す。
(1)矩形プレートが掛けられる鉄筋に直交する場合
(2)矩形プレートが施工上やむを得ず掛けられる鉄筋に斜交する場合
(3)円形プレートの場合
(4)プレート面と鉄筋のはなれ
施工誤差からプレートと掛けられる鉄筋のはなれ(H)が生じても、プレートによるコンクリート支圧応力伝達範囲に掛けられる鉄筋があれば、掛けられる鉄筋への拘束効果は発揮される。
なお、はなれ(H)の許容値についての明確な数値は無いが、矩形プレートに関しては20mm離れた状態での実験を実施し、同等の性能(せん断及び横拘束性能)が確認されている。
2.軸方向鉄筋に用いる場合
2-1.配置
(1)「Head-bar」を軸方向鉄筋の定着に用いる場合は標準フックに代えて用いることを原則とする。この場合の定着長は、標準フックの場合と同様に基本定着長から鉄筋の呼び名の数値の10倍の長さを減じた長さとする。なお、「Head-bar」の定着長は、下図のようにプレート端部から板厚を差し引いた位置を起点として算定する。
「Head-bar」の定着長
(2)鉄筋のあきは、適用する設計基準(道路橋示方書・コンクリート標準示方書等)に準拠することとする。また、プレート間のあきも適切に確保しなければならない。
同列配置でプレート間のあきを適切に確保できない場合は、下図のようにプレート位置を鉄筋軸方向に1本ずつ交互にずらして配置するなどしてあきを確保するのがよい。
プレート間のあきを確保するための配置例
(3)かぶりは適切に確保しなければならない。かぶりの最小値は適用する設計基準(道路橋示方書・コンクリート標準示方書等)に準拠する。
2-2.組立て
「Head-bar」の諸性能を十分発揮する為には、必要定着長を確保するプレート位置の組立誤差ができるだけ小さくなるようにすること。
「Head-bar」のプレート位置がコンクリート打設時の振動等によって動く事を防ぐ為に、「Head-bar」は結束線等で確実に固定しなければならない。
また、状況によりプレート近くでの結束が困難な場合は他の部分でしっかり結束し、コンクリート打設等により「Head-bar」がズレないようにしなければならない。
2-3.施工管理規定値
以下に施工管理規定値を示す。
(1)定着長
定着長は設計値以上とする。
(2)「Head-bar」の配筋位置 鉄筋の管理規定値と同様とする。
配筋上の留意事項
1. 重ね継手部対応について
Head-barを「横拘束用途」で使用する際、プレートが重ね継手部に掛かる場合、重ね継手部2本の鉄筋を同時に拘束できる寸法のプレートをご使用いただきます。(組立施工管理基準補足資料 1.2参照)
この際、プレート側とフック側を逆にして、フックを継手部に掛けられるのであればプレート寸法の変更は必要ありせん。
また、設計上Head-barが機械式継手部に適用されている場合がありますが、まずはプレート側とフック側を逆にすることで配筋が可能かをご検討ください。施工上、逆にすることができない場合は機械式継手部のサイズをもとに求められる寸法のプレートをご使用いただくことになります。
機械式継手部への対応は「せん断補強用途」か「横拘束用途」かにかかわらず必要になります。
※機械式継手部で使用するプレートサイズについては当社までお問い合わせください。
2. フック側を主筋と配力筋の交点に斜め掛けする場合
道路橋示方書では中間帯鉄筋は軸方向鉄筋のすぐ近傍で帯鉄筋に掛ければよいとしていますが、発注者等の指示によりフック側を斜めに掛ける場合、Head-barのプレート長辺が掛けられる鉄筋に直交するようフック側の向きを変えて曲げ加工を行ってください。
3. プレート側が片側に偏る配筋
底盤などに施工時には下側にしかプレートが配置できませんが、Head-barと半円形フックの性能は同等であり、設計上の問題はありません。
4. 掛けられる鉄筋に対してプレートが斜めになる場合
プレートの支圧応力伝達範囲内に鉄筋があれば、プレートが斜めになっても拘束効果は確保されますので使用は可能です。
但し、「所要のかぶり」の確保を確認してください。
【事例1】
【事例2】
5. コの字型鉄筋をHead-barに代えた場合の配置
鉄道構造物に多い「コの字型鉄筋」をそのままHead-barに代えると拘束されない鉄筋が出てきます。
このような場合、そのまま置き換えてもせん断耐力の確保には問題は有りませんが、よりバランスの良い千鳥配置とすることを推奨しています。
6. Head-bar同士が直交し、上側Head-barのプレートが鉄筋に十分掛からない場合
上側Head-barのスパンが短いケースではこのようなことが発生しますが、組立管理基準の考えに従って対応方法をご検討ください。検討の結果、どうしてもプレートが1/2以上掛からない場合、下記のような対策が必要になります。
【対策例】
- スパンの短い上側のHead-barを下側にすることで問題が解消する場合が有りますので、まずはご確認下さい。
- Head-barを内側でラップさせて施工する。
- 下からHead-barを掛ける。
この場合、特にプレートが鉄筋から外れたり、ズレたりしないよう必ずしっかりと結束してください。
※Head-barのプレートを長くして鉄筋への掛かりを確保する対応について
Head-barは掛けられる鉄筋に触れるまで奥に入れることを原則としており、単にプレートを長くして1/2掛ければよいということではありませんのでご注意ください。
7. 片端Head-barでも施工できない高密度配筋への対応例
床板・底盤等の施工で通常のHead-barでは半円形フックが大きすぎて組立ができない場合の対策として、I-Head-barのプレート長辺を鉄筋の空きの長手方向に対し平行にし、まっすぐに挿入して、その後Head-barを回転させることで配筋可能な場合があります。
8. 配筋間隔が狭く、Head-barが挿入できない場合
主鉄筋・配力筋・帯鉄筋の間隔が狭くHead-barのプレートが通らない場合は、主鉄筋・配力筋・帯鉄筋の間隔を変えて、プレートを間隔の大きいところに挿入することで配筋は可能となります。
但し、この様な対応には発注者との事前協議が必要です。