技術情報
性能確認実験1(摩擦圧接部の機械的性質)
プレートと鉄筋の接合部の機械的性質は、鉄筋の規格引張強度以上というHead-barの仕様に対して十分な強度を有していることが確認されました。
引張試験(母材破断確認)
勾配0%
勾配5%
性能確認実験2(プレートの定着性能)
(1)引き抜き試験
Head−barに引張荷重が作用した場合に、十分な定着性能を有することが確認されました。
半円形フック定着は付着による定着ですが、Head−barは支圧による定着です。
(2)部材のせん断実験結果
性能確認実験3(主鉄筋の座屈抑止性能)
梁部材の曲げ実験
プレートでしっかり主鉄筋を拘束する為、座屈抑止効果にすぐれています。
半円形フック(11δyで座屈)
Head−bar (12δyで座屈)
梁部材の曲げ実験結果
性能確認実験4(壁部材のじん性能)
比較実験により、破壊までの挙動を含めて半円形フック鉄筋と比較し同等であることが確認されています。
(1)鉄筋・定着継手指針2007の検証
交番載荷実験【10δy(主鉄筋降伏時の10倍)変形時】
Head-barの場合
コアコンクリートの損傷や主鉄筋の座屈程度が軽微で、かぶりコンクリートのはく落が少ない。
半円形フックの場合
かぶりコンクリートのはく落が大きい。
Head-bar側
コアコンクリートをしっかりと拘束している。
半円形フック側
(2)道路橋示方書V 耐震設計編6.2.5の検証
Head-barをせん断補強筋に適用した場合の耐震性能としては、とりわけ軸方向鉄筋の座屈抑止による変形 性能の確保が重要となります。したがってここではHead-barの施工実績が多い配筋条件のうち、軸方向鉄 筋座屈時のはらみ出しに伴う外向きの力が大きくなると思われる軸方向鉄筋の大きい領域で、せん断補強鉄 筋比(Case H=1.8%、Case L=1.1%)の比較的大きい条件と小さい条件の両者で実験を実施しました。
試験体の形状寸法および配筋
荷重包絡線
交番載荷実験 異なるせん断補強鉄筋比(Case-H 1.8% Case-L 1.1%)の変形時
Case-H 半円形フック試験体
Case-L 半円形フック試験体
Case-H Head-bar試験体
Case-L Head-bar試験体
建築構造評定
土木分野で先行して技術審査証明を取得済みでしたが、建築物への適用を考慮した部材実験による検証を追加することで、「プレート定着型せん断補強鉄筋『Head-bar』設計・施工指針」という形で建築分野の構造評定(UHEC評定-構18011)を取得しました。これにより建築物の面部材(基礎スラブ、スラブ、壁)の面外せん断に対する補強鉄筋としての適用が認められました。
その後、改定1・改定2の構造評定により、両端プレートタイプ、円形プレートタイプを追加。2022年12月改定3(UHEC評定-構2022002)において、基礎梁のせん断補強鉄筋(副あばら筋)への適用が認められました。
Head-barを用いた面部材の許容せん断力は、日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」(2018年)の「15条、梁・柱および柱梁接合部のせん断に対する算定 2.の(1)(2)(3)」に準じた設計式により定めています。
実験値(Head-bar試験体)と解析値のせん断力一層間変形の比較
実験結果、FEM解析および提案式による短期許容せん断力の比較
実験結果及び非線形有限要素(FEM)解析を用いて、せん断補強筋比(Pw)が0.2〜1.2%の範囲で設計式による許容せん断力が十分安全側であることを確認しています。